2012年7月30日月曜日

文化財保存修復演習Ⅰ(仏像の塗膜断面観察)

  
   文化財保存修復演習Ⅰではお預かりしている京都府舞鶴市布敷地区に伝わる2躰の仏像について、塗膜断面観察も行っております。 
7月5 ・19日の授業では作製したプレパラートを偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察しました。その結果を報告します。

 

まず剥落した塗膜を用いてプレパラートを作製しました。


 作製したプレパラートを偏光顕微鏡で観察、撮影しました。



撮影した漆塗膜断面の写真がこちらになります。
下から下地層があり、最上層が漆の層です。



偏光板を通して撮影した写真がこちらになります。



漆層は暗くて見えず下地層は光ってみえます。
下地層に見える水平方向に糸のように見えるのが貝殻胡粉の特徴です。
このことより下地層には胡粉が含まれて可能性があることがわかりました。



次に走査型電子顕微鏡で観察を行いました。


電子顕微鏡で撮影した写真がこちらになります。
上層に薄く、白く反射しているのが金箔層です。



金箔層付近を拡大した写真です。




下地層、金箔層について成分分析を行いました。
下地層の分析結果がこちらになります。
Ca(カルシウム)が検出され、これは胡粉下地であることが確実になりました。


 
金箔層の分析結果がこちらになります。 
Au(金)が検出され、金があることがわかりました。

  

以上が今回の観察で明らかになったことです。



2012年7月25日水曜日

7/28(土)、29(日) オープンキャンパス

みなさん、こんにちは。
歴史遺産学科の事務担当Jです。
祇園祭の山鉾巡行が終わったと同時に、梅雨が明けましたね。
今年は祇園祭の宵々々山から宵山が3連休と重なり、多くの方が京都にいらっしゃったようです。
お祭りは自分の肌で感じるのが一番ですね。

さて、いよいよ今週末、28、29日とオープンキャンパスを開催いたします。
(オープンキャンパス情報はこちらをご覧下さい→http://www.kyoto-art.ac.jp/blog-open/)

学科ブースでは教員だけでなく学科職員や学生スタッフも常駐しています。
どんな学科なのかな?とか、どういう授業をしてるのかな?などだけでなく、
歴史遺産学科の学生はどんな学生生活を送っているのかな?など、
大学生活における様々な疑問やご質問にお答えいたします。

また、今回のオープンキャンパスでは、夏期コミュニケーション入学の
仮エントリーも受け付けております。
(写真撮影や記入用紙は全てご用意しております)

学科ブースでみなさんが疑問に思っていることやご質問、不安などを聞いていただき、
疑問を解消した上で仮エントリーをするかどうかを決められるのも良いと思いますので、
お気軽にお越しください。

そして、歴史遺産学科のワークショップは下記の5つを予定しています。
人間館1階の歴史遺産学科ブースで随時開催しております。
①「拓本体験」
②「和紙を漉(す)こう」
③「京絵図パズル」
④「古文書の折り方と封の仕方を体験してみよう」
⑤「塗り絵で楽しむ『都林泉名勝図会』」
(詳しい内容はこちら→http://www.kyoto-art.ac.jp/blog-open/archives/1766)


暑い最中ですが、是非オープンキャンパスにご参加くださいませ。
今週末、歴史遺産学科ブースでみなさんにお目にかかれることを楽しみにしております。

2012年7月18日水曜日

文化財保存修復演習Ⅰ(京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復) vol.5


文化財保存修復演習Ⅰでは京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる
仏像2躰をお預かりして仏像の修復技術を学んでいます。
2012年7月12日はその授業の6回目でした。


1.如来の台座
授業外の時間で作業していただいた台座と框です。
埃を払い、漆を塗っていただききれいになりました。


 光背の軸棒は完成させることができましたので組み立ててみました。



 仏像と光背を合わせると完成したときの様子が見えてきます。



 枘の部分もしっかり機能しています。




2.如来
右手を補う作業も進みました。
  山崎先生に形の調整をしていただき取り付ける作業に移ります。



彫った手に手首分の部材を足します。
手首の形に整え、竹の串で仏像、手首、仏手の3つをつなげます。
今回はつなげるところまでには至りませんでした。




3.文殊菩薩
 解体し、クリーニングした文殊菩薩の接着を行いました。
足の部材と胴体の部材の接着になります。



框の接着と同様にニカワを用いて接着しました。



 接着後の様子です。



 接着後、両部材の間に隙間があったのでそこを補うことになりました。



 腹部の衣文と合わせてヒノキ材で彫る作業をしました。



以上が7月12日までの進行状況でした。
授業時間での作業は以上になります。
今後の作業については授業時間外での作業になると思われますが
詳細は未定です。





2012年7月2日月曜日

文化財保存修復演習Ⅰ(京都府舞鶴市布敷地区に伝わる仏像の修復) vol.4


文化財保存修復演習Ⅰでは京都府舞鶴市布敷地区の弥勒堂と文殊堂に伝わる
仏像2躰をお預かりして仏像の修復技術を学んでいます。
2012年628日はその授業の5回目でした。

各々担当に分かれての作業が多くなってきました。
如来の光背の軸棒を新しく補うために彫ることになりました。


 
元の軸棒は蟻枘の部分が擦り切れて機能しなくなっています。このため光背がうまく立ちません。


 

形を確認しながら彫り進めていきます。



これは如来台座の框の作業です。
前回の接着時に補たヒノキ材の余分を除去し、砥粉と漆と水を混ぜた
錆を授業外の時間に塗っておきました。



授業時間ではその上からテレピン油を混ぜた漆を塗りました。
 

トレース作業も仕上げに移っていきます。


立体的なところ、写真からは判断が難しい具体的なところは実物を参考にしながら描きました。
  

トレース作業班はそれが終わると裳先を彫りました。


山崎先生のご指導をいただきながら彫り進めました。
前回同様、彫りやすい桐材を用いて形を確認します。


 如来は右手も欠損しているのでそれを補うために彫る作業も行いました。



のこっている左手の形を参照にしながら形を決めます。
江戸時代の仏像手なので厚みの少ない仏手です。

形を決めたら彫り進めます。授業時間内には完成まで至りませんでした。

 今回の作業では時間内に文殊菩薩を接着するところまで予定していました。



 しかしいろいろな作業を併行して行っているうちに接着剤のニカワを熱し過ぎてしまい、 
それが固まってしまいました。この接着作業は次回までにすすめておくことになりました。



以上が628日までの進行状況でした。
次回作業日は712日の予定です。